ユーモア~忌野清志郎の不在
ああ、かくも難しいものがあるかな、ほかに。
ユーモアの大半はクズである (4ページ目):日経ビジネスオンライン
私は、「暴力」と「ユーモア」は、正反対どころか、兄弟に近いものだと思っている。 暴力とユーモアは、コインの裏表みたいな関係で、お互いを補完しあっている。同じものの別の側面と言っても良い。 ...
しかしながら。
むかし、こんなことがあった。
♪北朝鮮で遊ぼ〜 人気ロックミュージシャン、忌野清志郎(52)が22日、東京・千代田区の日本武道館で行われた地球環境の調和を訴える「第14回アースデー・コンサート」に登場。北朝鮮を歌った曲など当初と違う2曲を熱唱。この大暴走に主催のTOKYOFMなどが世界各国へ生中継していた同ライブは、途中中断されるハプニングとなった。
アーティスト4組が参加した同ライブで、忌野は全5曲中3曲目で♪キム・ジョンイル、キム・イルソン…キムと呼べばみんな仲良くなれるよ ♪海辺にいたらタダで拉致して連れていってくれるよ、などと「イラク戦争で影が薄くなった憧れの北朝鮮を歌ってみました」と話し、「ビビンバ、焼き肉、マッコリ」などと絶叫。最後もギターを弾きながら観客とともにバンク風にアレンジした「君が代」を大合唱した。ライブには佐野元春(47)、及川光博(33)、夏川りみ(29)が参加。約7千人に熱いメッセージを送った。(サンケイスポーツ2003年4月)
僕は現場で見ていたので、あとから知ったのだが、生中継していたTOKYO FMは、清志郎が『あこがれの北朝鮮』『君が代』を熱唱している間、急きょ中継を止めて「リスナーからのファックス読み上げ」で対応したのである。
そして忌野清志郎はこのように答えた。
4月22日、日本武道館「アースコンシャス・アクト」のコンサートを終えて、いろいろとスポーツ紙(毎日新聞 サンケイスポーツ スポーツニッポン 報知新聞 夕刊フジ)やワイド・ショーなどでニュースになってしまいました。心配されたファンの方や友人達に対して、この場をかりて説明させていただきます。
なにしろ、翌朝、電話のベルが鳴るので僕が電話に出ると「あら?出ちゃっていいの?本人が電話に出るのはよくないわよ。今、大さわぎになってるのよ、わかってんのー」と親戚のおばさん。「何のことだい?」と問うと、「あいかわらず、新聞もテレビもみないのね、あんた、また自分のやったことがわかってないようね、ダメよ、そんな事じゃ、ちゃんとしなさいよ。」などと話が始まって、わかったよ、わかった、おばさん、イモな奴らがロックン・ロールをわかってないだけだから心配はいらないさ、すべてOKだ。俺はロックだから。子供達も元気だし。俺は週に100キロほど自転車で走ってるぜーなんて言って何とか話をまとめました。
いや、よくわかりません。僕はいつもの歌を歌っただけだよ。マネージャーの小山くんはあたふたと、次のような報告書を求められて提出したそうです。
この報告書が現在手もとにないのだが、ただ当日の状況を説明しただけで何の謝罪もなかったことはよく覚えている。
忌野清志郎だから可能だったんだろうか。
あれほど過激な発言とパフォーマンスを繰り返しながら、テレビ番組やCMのオファーは最後まで途切れなかった。そんな忌野清志郎だから可能だったんだろうか。
それとも、時代か。
わからない。
ただ僕はいま、忌野清志郎がこの世にいないことを嘆く。
立川談志がこの世にいないことを嘆く(ちょっと似てるんだよこの二人)。
ユーモアは危険で、摩擦や憎しみも生まれるけど、それでも僕らにはユーモアが必要で、その危険なものに挑むアーティストたちを、そのギリギリの冒険を、僕らは好きになったり嫌いになったりしながら生きている。
クズのようなひどいユーモアに対しての憎悪は理解できるとして、脅迫・暴行・殺戮は駄目。それだけは言えるけど。
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追記
2 すべての歌に懺悔しな!!に関わる論争 - Wikipedia