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『雨ン中の、らくだ』読みたい

 じっさい、同じ師匠についた2人の噺家(はなしか)の自伝でありながら、談春が自分と周囲の人々(談志も含めて)の〈人生〉を語っているのに対し、志らくの関心は〈落語〉そのものに集中しています。前者が小説ならば、後者はエッセー。談春は感覚的直観にすぐれ、志らくは批評的知性が抜群なのです。芸風も、談春は骨太に芸の〈型〉を構築し、志らくは繊細かつ大胆に〈型〉を壊していきます。

 落語の伝統でいえば、噺家の古典的完成度と八方破れの面白さを対比して、かつて文楽志ん生、後に志ん朝・談志と並び称されたように、談春志らくと呼ばれる日が来るかもしれない…。『雨ン中の、らくだ』には、落語ファンのそんな希望をかき立てる真摯(しんし)な情熱がみなぎっています。

一週間の間に二人の噺を聴いた上で、道灌じゃねえや、同感。